第4章 色の異なる目を持つ侍
沖田side
凛さんが僕を庇い何ヶ月かたった日。
「今日もボロボロですね…」
凛さんは井戸の前で洗濯をしていた。
だが、着ている服や身体はボロボロだった。
「えへへ、そうね。気にしないで練習に励んでね。」
「貴方がそんな状態で気が散って練習出来ませんよ。」
実際稽古はできるようになったものの
僕は凛さんが気になってしょうがなかった。
ご飯が抜きになったと聞いた時は
できるだけ僕のご飯を部屋の前に置いた。
「え?気にしてくれてるの?優しいのね。」
「調子に乗らないでください。身体の具合はどうですか?」
本当はこんなに冷たくしたいんじゃない。
お礼が言いたかった。
この人を守りたかった。
凛さんはあれから物凄く
痩せてしまい、生傷が絶えなかった。
悔しかった。
女に守られた僕…
絶対強くならなければ…
「大丈夫よ。それより私に関わると大変よ。ほら!!稽古に行ってらっしゃい!私もご飯の支度に行ってくる」
そう言って凛さんが立ち上がって
台所に向かおうとした時、
不意に凛さんがふらついてしまった。
「………ッ」
「凛さんっ!!」
【ドサッ…⠀】
僕は咄嗟に手を差し伸べて
抱きかかえた…
あまりにも小さい身体…
「凛さんしっかりしてください!」
見ると凛さんは気を失っていた。
直ぐに近藤さんに伝えて
医務室へ連れていった。
医務室で凛さんを
床に下ろすと自分の手に血が滲んでいた事が分かった。
脇腹から出血していたのを
サラシで巻いていたが
滲んで来たようだった。
酷い…
これから凛さんは
命が持つのだろうか…
今にも死にそうであった。
近藤さん促され
とりあえず医務室を出て
稽古に向かった……