【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第2章 帰ってきた幼馴染
『ふー…やっぱこっちは暑いな…』
ガラガラと音をたてて大きなスーツケースを引きずりながら額に滲む汗を煩わしそうに腕で軽く拭い空港内の広いロビーを歩く一人の男の姿をすれ違う女性がチラチラと視線を送るも当の本人は気づいていないのか、はたまた興味がないのか反応を示すこともなくひたすら歩みを進める。
暫く歩けば漸く見えてきたタクシー乗り場との表記に長時間のフライトによる疲労感と暑い空気から逃れられることに安堵の息を小さく吐き出し、乗客が来るのを待っていた一台のタクシーへと乗り込んだ。
『はー…クーラー最高ッ。……アイツに会うのも久しぶり、か…
………なぁ…零…』
クーラーが効いた車内にホッとしてから運転手に短く行先を告げ、発進したのを確認すると座席に凭れ掛かり窓の外の流れる景色に視線を向けては漸く会える相手の顔を脳裏に浮かべ、まるで恋人にでも会うかのようなどこか甘さを含めた柔らかい口調で名を口にして目をそっと閉じた。
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「あの、風見さん!今日の降谷さん…なんか機嫌良くないですか?」
警察庁警備局企画課。通称ゼロと呼ばれる部署で先日解決した案件に対する後処理という名の報告書や書類作成を本日何徹目だろうかと上手く働かない頭をフル回転させながら黙々と進めていると、隣の席に座る先日配属された新人からの問いかけにキーボードを叩く手を止めて顔を向けた。
「ああ、お前は最近入ったばかりで知らないのか。今日はあの人が帰ってくる日だからな」
「あの人?」
「降谷さんの右腕………いや、相棒だな」
その思いもよらぬ言葉に新人の男はあの降谷さんにそんな相手が居たのかと驚きと興味を滲ませてはポカンとどこか間の抜けた表情を浮かべ、それを見て昔の自分を重ねてしまい風見は可笑しそうに小さな笑みを溢した。