【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第6章 小さな名探偵
今日も変わらず女性のお客さんが多いポアロ。店内とカウンター内との行き来を繰り返しながらお客さんの対応に追われること数時間、漸く落ち着きはじめ店内のお客もほんの数人程度ということでホッと息を吐き。
…そろそろ来る頃か……
カウンターのテーブルを拭きながらチラリと時計を見ると時刻は13時過ぎ。今朝幼馴染と話たのを思い出せばそろそろ来てもおかしくはないだろうと店の扉に視線を向けていると僅かな笑う声に振り返り、どこか楽しそうな笑みを浮かべる女性に首を傾げ。
「梓さん?どうかしましたか?」
「あ、すみません!ただ安室さん、時々店の外を何度も見てたので誰か待ってるのかなって」
「僕…そんなに見てました?これはお恥ずかしいところを見られちゃいましたね」
「いいえ、安室さんのそんな姿初めて見たので役得ですよ!」
「あはは…。っと、いらっしゃいませ!…おや、蘭さんに園子さんじゃないですか。今日は……悠?」
梓さんの言葉に無意識の行動なだけあって本気で恥ずかしいなと困ったように頬を掻き、少し気が緩み過ぎたかと改めて気を引き締めようとしていると店内に響く音に来客かと扉へ顔を向ければ見知った女子高二人組に学校は休みなのだろうかと思った瞬間、二人の後に入ってきた人物に僅かに目を見張る。
……何で悠が彼女達と…?
「…ん…む…さん……安室さん!」
「…え、あ…すみません。少しボーっとしてました」
「大丈夫ですか?もしかして熱でもあるんじゃ…」
「いえ、だいじょ…『んー…確かに熱はねえな』…っ!?」
何故三人一緒に来たのか…。顔見知りというわけではないだろうが、どうにもモヤモヤとしたものが胸の中にあってすごく居心地が悪い。目の前で楽しそうに話す悠の姿をこれ以上見たくなくて顔を伏せているとよほどボーっとしていたのか名前を呼ばれてもすぐには気づかず、何回目かの呼びかけでなんとか沈みそうな気持ちを押し込んで顔を上げる。
俺の心情など当然知る由もない梓さん達が心配そうにこちらを見ていて、大丈夫だと答えようとした瞬間目の前を埋め尽くす悠の顔に何が起こったのか分からず息を詰めた。