【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第3章 ポアロの店員安室さん
「安室さん!長いこと休憩ありがとうございました!っと、すみませんッ!接客中だったんですね!」
カウンター奥から足早にやってきたアルバイトの店員である女性がすまなさそうな声色でお礼を告げるも、カウンターテーブル前の椅子に座る男の姿を見てお客さんが居たのかと慌てて謝罪をしてきた。
「お帰りなさい梓さん。休憩しっかりとれたようでなによりです。…あ、こちらは僕の大学時代からの友人で『初めまして、蒼井悠って言います。ふ…安室とは切っても切れない腐れ縁とでもいうか…。ま、これからはちょくちょく来るかと思うんでよろしくな』…ということです」
「へえ、安室さんのお知り合いだったんですね!あ、私榎本梓って言います!今後ともポアロをごひいきに!」
女性店員の登場に先まで恥ずかしそうな表情を一瞬にして引っ込めて爽やかな笑みを浮かべる様に二重人格かと感心しつつ、予め設定していたのか少し事実を混ぜた紹介をする降谷の言葉を途中遮り言い慣れない偽名にまごつきつつも今後頻繁に来ることを告げ。
そんな俺に抜け目なく喫茶店の宣伝をするあたりしっかりしている女性だなと好感がもてる。
『さてと、それじゃ今度こそ帰るわ。上手い料理とアイスコーヒーご馳走様』
「ありがとうございました!またおこしくださいね!」
さすがに他の店員が居る前で下手に話をすることもできないので帰ることとハムサンドの感想を告げてから立ち上がり、会計をするためレジへと向かうと後を追いかけてきた降谷のどこか残念そうな表情に苦笑いしながら財布を取り出そうとしたのだがそれを遮る手に顔を向け。
「今日は僕の奢りです。…こうしてまた貴方と会うことができたのですから」
『………そうか。んじゃま、お言葉に甘えてそうさせてもらう。ありがとな』
色々な意味が含まれた言葉に表情を和らげて感謝を口にして店を出ようと身体を扉に向けるも、大事なことを忘れていたとレジ奥に立つ降谷の耳元に顔を寄せ。
『今日このまま買い物して帰るんだが…肉じゃが、食いたいな』
「!!!……ふふ、了解しました」
最初は何だ?と不思議そうにしていたが囁いた言葉を聞くなり困った奴だと言いながらも嬉しそうに笑みを溢して了承の意を返してくれたことに満足して今度こそポアロを後にした。