【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第3章 ポアロの店員安室さん
書類の山を全て終わらせると既に時刻は14時を過ぎており、集中していたせいか感じていなかった空腹に食堂で適当に済ませるかとも考えたのだが先ほど風見に聞いた話にこれは行かないわけにはいかないと楽しげに笑みを浮かべて訪れた喫茶店ポアロ。
暫く少し離れた場所から中の様子を観察していると普段絶対することのない笑顔を浮かべて接客をしている幼馴染の姿に最初は驚きはしたものの次第にそれも笑いに変わり、周囲から見れば絶対怪しいと思われるだろうが一度こぼれた笑いはなかなか収まらず。
しかしさすがにこれ以上は通報されかねないとなんとか笑いを引っ込めて扉を開けた。
「先ほどはすみません。まさか貴方が此処に来るとは思ってもみなかったもので」
『っっ……いや、別に謝ることじゃねえよ。急に来た俺も悪い、し……くくッ…』
「……ちょっと、いつまで笑ってるんですか。…悠よほど空腹のまま倒れたいらしいな。ん?」
『ッ!ご、ゴホッ!!…悪い……。あー…なんだ、此処のおススメって何なんだ?』
「ったく。…おススメは…そうですね、ハムサンドでしょうか。それでも足りないようならパスタ系やオムライスなんかもありますよ」
俺の突然の来店に驚きを隠せない様子にドッキリ大成功だな、なんて思いながらこれまた普段絶対使わない丁寧な言葉遣いに落ち着きつつあった笑いが再び沸き上がってしまい。
そんな姿に不機嫌そうに眉を寄せる降谷に止まらぬ笑いで肩を揺らしていたのだが、先ほどまでの爽やかさを一変させたいつもの鋭さを含んだ言い方にさすがに笑いすぎたなと咳払いをしてようやく笑うのを止め、とりあえず空腹なのをどうにかしなければと気を取り直しておススメがあるならと問いかければ返ってきた言葉とカウンターテーブルの上に置かれたメニュー表を見るため椅子へと腰を下ろす。
『んー…どうすっかな。時間も時間だし、ハムサンドとアイスコーヒーを頼む』
「分かりました。ではお作りしますので少しお待ちください」
そう告げるなり調理を開始し始めた降谷の様子をカウンター越しに眺め、全く料理ができない俺のためにほぼ毎日といっていいほど食事を用意してくれるその姿は本来なら自分だけが見れるものだと思っていたのだが、今では来店するだけで誰でも見ることができることに面白くないなと感じた自身に苦笑いを浮かべた。
