第35章 商人の嘘は神もお許し
「……寂しくなるって……何の話だよ……」
「だって、わたしはただの順良な生徒ですから。例えわたしに非があっても、純愛だとしても……冴舞学園の教師が相手なら、そんなの関係ないですよね。斗真先生がわたしに手をかけた、これだけが最後に残る事実です」
丸木戸は眉一つ動かすことなく、微笑んでいた。
俺を横目で見る。
「斗真先生、これから大変でしょうね。親友にそんなことバラされちゃったら」
その齢に似合わない妖艶さと残虐性を秘めた笑いを零したのが俺の目に飛び込み、
「ッ……!」
ゾクゾクとした快感に包まれ、全身が粟立った。
口端から漏れる荒い息を抑える事が出来ない。
「脅してるのかよ……俺はバラす気も、斗真を庇う気もねえよ……」
「……そうですか、ならなんでわたしにこんなこと言ったんですか?そもそも斗真先生に言えば済む話じゃないですか。もっとバレないようにやれよって言う提言ですか?」
俺が首を横に振ると、丸木戸は眉根を寄せる。