第11章 オマエが好きだ
『明日からテストなんて聞いてないよ』
「いや、言ったのだよ。」
花子は広げたまんまのノートに顔を伏せる。
ちゃんとやれ、とか何でオレの部屋でテスト勉強しているのだよ、とか言いたいことは山ほどある。が、昨日から1つ気になっていることがあるのだ。
それはお好み焼き屋での一言。
一ただの幼なじみー
それが頭から離れないのだ。
花子が男が苦手なことも分かっているし、オレのことをなんとも思っていないこともなんとなく分かってはいたが、いざ本人の口から聞くとやはり面食らうものがある。
かっこ悪いが、男なんてそんなものだ。
「勉強しないなら帰れ」
『んー、頭使いすぎて体だるくなっちゃった』
そんな言うほど勉強してないじゃないか、と思ったが、花子はノートに顔を突っ伏したまま一向に動く気配がない。
持ち上がったTシャツの裾から見える白い背中が、オレを誘惑する。
いっその事触れてみようか。
・・・・・いや、ダメだ。ただの幼なじみはそんなことしない。
そんなことを考えてることも知らずに花子は体を起こし、そのままベットで寝そべった。
これは本格的にオレを誘惑しにきたのか?
一瞬にしてオレの脳内はピンク色の妄想で広がる。
・・・・・いや、ダメだ。
オレたちはただの幼なじみじゃないか。
そう何度も言い聞かせるが、身体は正直だ。オレのソレは花子を求めて、膨れ上がる。
もうここまでくると勉強も身に入らない。
「走ってくるのだよ」
そう言うと花子は目を閉じたまま、右手をひらひらとさせた。