第39章 ・・・殺す
「ダメなもんはダメだ。何度もしつこいのだよ。」
「緑間っち〜、そこをなんとかお願いしますよ〜。この通りっス!」
「いつまでそこで土下座してるつもりだ?練習を始めるぞ、黄瀬。」
「赤司っちには宮古さんがいるじゃないっスか〜。もう何でダメなんですか〜っ!!」
オレの問いに、オマエが信用ないからだと2人は声を揃えて答えた。オレから言わせて貰えば、人より少しモテるというだけで、女の子を傷付けるようなことをした覚えは一度たりともない。
花子っちとデートする為に、この強敵な幼なじみの許可を得ないと連れ出せないと分かってから、毎日のように頭を下げて(時には土下座までして)お願いしている。
それもかれこれ今日で1週間。
明日からゴールデンウィークが始まるというのに、一向に許して貰えていないのだ。そろそろ切実に許可が欲しい。
「オマエの手に収まるほど花子は安くないのだよ。」
「緑間っち、本当は花子っちのこと、」
「煩いっ!アイツとはただの幼なじみだと何度言えば分かるんだ。」
「じゃーいいじゃないっスか!花子っちだってデートすればオレの良さに気付くはずっス!」
なかなか首を縦に振らない緑間っちと睨み合っていると、桃っちがはい、おしまいとオレらの間に入った。
「んも〜、練習の時間だよ?急いでアップしてよね!」
桃っちに背中を押されたオレと緑間っちは渋々コートを走り始めた。そのとき端の方で悲しそうな表情をしている宮古さんの姿が、ふと目に入った。
しかしこのときのオレは花子っちと何とかして出かけられる術はないかと試行錯誤するのがやっとで、そんな彼女の気持ちを汲み取る暇などなかった。
それからも緑間っちと赤司っちに毎日毎日何度も頭を下げ、やっとの思いで出かける許可を条件付きで得ることに成功した。
1.無闇に身体を触らない
2.帰りは家まで送る
3.門限は6時
以上3つのことが条件であった。
・・・ったく、過保護め!
と心の中で何度も思ったが、結局それを言うことはなかった。