第5章 オマエに惚れてんだからな
あまり乗り気じゃなかった真ちゃんも、いざDVDを再生すると意外にも真剣に見ていた。
「なるほどな、確かに王者と名乗るだけはある。ディフェンスは特に固いな。」
『でも、なんか動きが変じゃない?』
「忘れちまったけど、なんかこの学校は練習が特別なんだと。どうやってっか分かんねぇけど、機動力がやけに高い。ディフェンスなら東京最強だとさ。」
そんなに強いのか。
集中して見ていると1人の選手が気になった。
『この10番、ディフェンス特にしつこいね。』
「彼とは1度対戦済みだ。」
そうなのか?驚きながら高尾が問いかけると、真ちゃんは重たそうに口を開いた。
「始めて間もないとはいえ、黄瀬を止めた。正直、オレもあまり彼とはやりたくないのだよ。」
真ちゃんにそこまで言わせる彼は、やはり相当すごいのだろう。
「けど、相手するとしたら緑間だぞ。ディフェンスだけなら全国クラス、オマエも止められかねねぇ。」
『黒子くんたち勝てるかな?』
「残念だけど決勝はやっぱこっちだな、ちゃんと考えとけよ。」
「分かっているのだよ。」
一通り正邦の試合を見たあと、少しムズムズした2人と一緒に体育館で自主練をした。
決勝の相手が正邦だろうと誠凛だろうとやることは変わらない。
私たちは予選リーグを突破し、決勝リーグに進む。そして決勝リーグで1位になり、インターハイに出場するのだ。
(「オフだったのに。」)
(『結局、バスケしてるね。』)
(「人事尽くしすぎじゃね?」)
(「尽くしすぎということはないのだよ」)