第5章 オマエに惚れてんだからな
『じゃーん!』
「DVD?」
『そう、正邦のね。』
「オレらだけ1年レギュラーで何も知らねーからな。」
「興味ないのだよ。」
ほら、興味ないって言うって言ったでしょ?と山田はドヤ顔でこっちを見る。
「黒子や火神がいないからってそういうこと言うなって!決勝はむしろこっちが本命なんだからさ。」
『それに、今日オフだし真ちゃんも暇でしょ?』
そう、3日後に準決、決勝を控えた今日は調整日なのだ。
「いや、忙しいのだよ。」
「じゃー山田と2人で見るわ。」
「おい!!」
そうと決まれば早速見るぞー、と山田と歩き出せば、後ろから渋々と真ちゃんがついてくる。
『高尾の作戦勝ちだね。』
ボソっと真ちゃんには聞こえないくらい小さな声でオレに耳打ちする山田。
あたりまえだろーが。
真ちゃんがオマエとオレを2人きりにするはずがない。
だってあいつはオマエに惚れてんだからな。
と言ってやりたいくらい真ちゃんには振り回されているが、オレが口出しするのもナンセンス。そう思いながら、小さな声で山田に告げた。
「真ちゃんのことなら何でも分かんの、オレ。」