• テキストサイズ

緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第33章 赤司が大きくなったんだよ






『え?泣いてなんか・・・・・あれっ、』



花子は言われて初めて自分が泣いていることに気が付いたのか、慌てふためいていた。


頬に寄せた親指で掬うように涙を拭い、再び花子を抱き寄せれば、彼女は力なく胸に顔を埋める。




「今度はオレがこうしててやるから、気が済むまで泣くといい。」



オレが泣いていたとき花子が優しく抱きしめてくれたように、今度はオレが花子を抱きしめた。



『・・・あか・・し・・・、私・・・・・ほんとはねっ、』


「何も言うな。・・・分かってる。」




花子は声を押し殺して泣いていた。
オレの胸にいる壊れてしまいそうなほどか弱くなった花子を、オレが守りたいと思った。


幼なじみだからではなく、1人の女性として花子を大切にしたい。できれば、その弱い部分も太陽のように明るく笑う顔も、全部オレだけに見せて欲しい。


・・・オレだけの花子になれば良いのに。
なんて口が裂けても言えない気持ちを咄嗟に隠すように空を見た。大きな満月がオレたちを照らす。


・・・今、緑間はどんな気持ちでいるのだろうか。


花子本人も気付いていなさそうだが、花子はきっと緑間が好きなはずだ。オレが花子を目で追ってしまうように、無意識だろうが花子もよく緑間を目で追っているのだ。


2人のが幼なじみ歴は長いし、仕方ないと言えば仕方のないことなのだが、最近はそれが面白くないときもある。


2人の仲を引き裂きたい訳じゃないのに、どうにかして入れる隙間があるんじゃないかと探してみたり。それでも結局は何も出来ず、何も変えられないままなのだ。


だからせめて、この気持ちを。
決して届かなくても構わないから、今伝えたいのだ。



「なぁ花子、月がキレイだよ。」


/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp