第28章 すぐ終わらせるって言っただろ?
『・・・お邪魔しまーす、』
ガラガラと体育館の扉を開け、小さな声で挨拶をすませると誠凛のみんなはまだ練習中だった。
「げ、緑間。」
「げ、とはなんだ火神。バカはちゃんと練習しろ。」
「なんでオマエは上からなんだよっ、」
会ってそうそう喧嘩腰の2人は相変わらずで、私と黒子くんは同時に呆れてため息を吐いた。
すぐ様練習は再開され、私たちはコートの端で見学。そして汗を拭いた鉄平さんが走って私たちの所にやってきた。
「すまんな、花子。誠凛まで来させてしまって。緑間も悪かったな。」
鉄平さんは、私と真ちゃんを交互に見てからニコリと微笑んだ。
『晴れの日に申し訳ないんですけど、お借りした傘とTシャツです。』
「おう、サンキューな。」
『・・と、あめです。』
「お、花子はオレの好みを知ってるなぁ。」
ありがとう、と目を細めて笑いながら鉄平さんは私の頭を撫でようとした。が、あと少しで触れるところで、鉄平さんは自ら手を引いた。
「すまん、緑間。つい癖でな。」
「あ、いや、別にオレは・・・、」
そのあと鉄平さんは真ちゃんに耳打ちして、再びコートへと戻っていった。そして入れ替わるようにこっちへ来たのは火神くんだった。
「緑間、この後暇か?」
「オレはとてもいそ」
『暇だよ。』
「オイ、勝手に答えるなっ!」
「練習終わったから、校門で少し待っててくれ、」
「あ?」
「ちょっと相手してくれよ?」
「フッ、してください、だろ?」
「っるせーな。良いから待っとけよ。」
お互いにぶつくさと文句を言っていたが、真ちゃんもなんだかんだ言いながら校門で火神くんを待っていた。