第26章 ただの醜い嫉妬だ
「あんま怒んなよ、真ちゃん。山田だって反省してるし、そもそも雨のせいだし。」
「オマエには関係ないのだよ。」
「はぁ、山田・・・・・、健闘を祈る。じゃっ!」
『え、ちょ、高尾〜。この裏切り者ぉ〜。』
帰路につき、いつもの十字路で高尾と別れる。先程までの雨はすでに上がっていた。
やはりみんなの予想通り、真ちゃんに私は怒られた。鉄平さんの服を着ていたこと、その見た目、そして下着が透けてしまったこと全てに対して真ちゃんは怒っていた。
何度も謝ったが、許してくれるはずもなく。
部室で着替えてくるよう渡されたのは真ちゃんのTシャツと半ズボン。それもやはり大きかったが、真ちゃんの匂いがしてなんだか安心した。
『中学生のころもよくジャージ借りたよね。・・・覚えてる?』
「覚えていないのだよ。」
話を変えてみたが、それも虚しく真ちゃんは足を止めることなくスタスタと歩いて行ってしまう。
・・・そんな怒らなくたっていいじゃないか。
心の中で呟いてみてもなんの意味もない。
家に着くまでの間何度かちらっと振り返り私の方を真ちゃんは見ていたが、眼鏡の奥のその目はとても怖かった。
このままギクシャクしたまま家に入りたくなく、もう一度真ちゃん、と声をかける。
『・・・家、寄ってく?』
「は?」
『あ、いや、その、深い意味はなくて、』
「・・・・・オマエといると、疲れるのだよ。」
真ちゃんは大きなため息を吐いてから、私の家に入った。