第26章 ただの醜い嫉妬だ
「山田遅せぇな。どこで油売ってんだ?」
花子が買い出しに出かけて1時間半。これには流石の高尾も気に出し始めた。
待てど暮らせど帰ってこない。心配になり電話をしてみるも、体育館で花子のそれが鳴り響く。
・・・何のための携帯だ。
オレのイライラは増一方だった。
先輩たちは帰り、体育館内はオレと高尾の2人きりだった。
「あと10分したら、ちょっと見てくる。」
「おう。・・・真ちゃん携帯鳴ってんぞ?」
高尾に言われ携帯を見るとディスプレイには黒子の文字が。
黒子から電話なんて珍しい。
が、今は立て込んでいるから正直後にしてもらいたい気分だ。
ため息を吐きながら電話に出る。
ちなみにこの電話が黄瀬だったら出なかった。
「もしもし、」
「“練習中すいません。先程山田さんと会いました。”」
「はぁ?どこでだ?」
黒子の話によれば雨に降られ駅で雨宿りをしている花子と偶然会い、オレが心配してるだろうと思い電話をくれたらしい。
「別に心配などしていないのだよ。切るぞ。」
全く、余計なお世話だと言いたいところだが、花子の安否が分かり本当は安心していた。
「くくっ。心配してるくせにっ。くっ。」
少し離れていたところで笑う高尾に向けて思いっきりボールを投げつけた。
「いってぇな、真ちゃん!」
『遅くなりましたぁー、』
高尾が頭を抑えながら文句を言ったとほぼ同時に体育館の扉を勢いよく開けた花子が入ってきた。
そして帰ってきた花子の格好を見たオレたちは・・・
「山田、オマエ・・・、」
「・・・・・。」
・・・絶句するのだった。