怖いのは苦手です【ONE PIECE】ドフラミンゴ夢
第2章 Who are you?
「若………、それは?」
主の抱えた包みから小さいながらも声や音が聞こえれば疑問に思うのは従者として当然だろう。
突然の事に驚きはしたが、体を固め息を飲んだだけに留め目の前の布を見つめる。
もぞりと動いた布の塊はするりと主の胸に擦り寄ったように見えるが、主が怒る気配はない。
「フフッ!! フッフッフ…あぁ、そうだな……」
むしろ嬉しそうにニヤリと笑いながら布の塊を見つめている。
それはそれは楽しそうに。
「さしずめペット、だな」
突然スイッチが入った子供のおもちゃの様に布の塊が暴れ始める。
どうやらペットというのはお気に召さなかったようだ。
不満全開とばかりの動きに驚いた。
言葉がわかるということは、中身はおそらく…生きた人間。
ただ観ていただけのこちらが驚くほどに激しく動くものの、主はそれをものともせずに『これ以上暴れると落とす』などと言いながら布の塊を大人しくさせた。
いつもなら、面倒だとその場で殺してもおかしくないが、この布人間は随分気に入られているらしいと、その正体が気になった。
主が布を撫で回すと「ひゃあ」と高い声が聞こえた。
どうやら布人間の性別は女らしい。
そして、はたと気付く。
「ま、まさか、こいつ…昨日のっ?!?!」
主はこちらを見ると、いつもの不敵な笑みを浮かべた。
間違いない。
「 つ、連れて行くんですか??」
そう尋ねれば、ややあって「あぁ…」と、何か思いついたらしい声がする。
そして、主はそのまま部屋を出ると向かいの扉を蹴り開けた。
布人間をその場に下ろし、さらに奥に進むとドカリとソファーに腰を降ろす。
布人間はバタバタともがきながら漸く顔を覗かせた。
後からでは分からないが、少し茶のかかった黒髪と細い身体。
布人間は、やはり女だった。