第3章 電光石火
『うっ…ゴホッゴホッ…』
衣月は突然…咳き込み…血を吐いた…
『おいっ!大丈夫かっ!?』
三蔵が慌てて起き上がった。
『大丈夫……』
弱々しく衣月は答えた。
『大丈夫なはずねぇだろうがっ!!』
『大丈夫…だって…』
『何をした。言え…』
何かを察した三蔵は衣月に詰め寄った。
『経文の力を使った…ただそれだけ…ゴホッゴホッ…』
咳き込む度に血を吐く衣月。
『代々の有天経文の守り人が禁じてきた理由のひとつがそれなんですね…』
里白が少し怒ったような口調で言った。
『ごめん…言わなかったもんね…この経文の力は使い方さえちゃんとしてたらいいの。でも、私利私欲の為に使うと守り人に牙を向く。1代目の守り人は…病で倒れた大切なものの為に経文を使った…1回だけならまだしも、何度も何度も…その人は助かったけど守り人は亡くなった。今のあたしのように血を吐いてね…』
衣月は言い終えるとまた、咳き込んで血を吐いた。
『衣月…死んじまうのか!?俺…やだよ!そんなの!!』
悟空が起きていたようでその話を聞いて叫ぶように言った。
『今すぐってわけじゃない…もって…3年から5年の間しか生きられない…』
『なんで…分かってて…そんなことするんだっ!!お前はっ!!』
淡々と喋る衣月に三蔵がキレた。
『大切なんだよ…三蔵のことが…少しの間しかいないけどすごく大切にしたくて…居なくなるって思ってたらやらなきゃって思った。しょうがないじゃん…好きになっちゃったんだからっ!!』
衣月はそう言い終えるとまた涙を流していた。
三蔵は一瞬…驚いた顔をしたが衣月を衝動的に抱きしめていた。