第1章 出会い
練習初日、私は渡された台本と照らし合わせながら今回やる演目を見させていただくことになった。
───今回やる演目は男子高校生4人の友情を描いた話。それぞれ違う中学校から来た4人が喧嘩もしつつ、それでも離れられない。少しずつ距離を縮め、最後は高校を卒業しお互い違う道に進む...そんな話。
うん、いい話だ、感動じゃないか。友情ってやっぱいいよね、泣かせてくれるよね。この話いい!!
──いいんだけどね、私のやる役って...
寺島「えっと、夏海ちゃんはこの役ね。とりあえず台詞目で追いながら俺らの演劇見てて。」
夏海「あ、あの、これって...」
寺島「うん、夏海ちゃんやるのは『悠真』って子。男子高校生4人の内の1人だね。」
まさかの男の子役。こんなつもりじゃなかった...
寺島「『悠真』はね、4人の中で1番クールで、でも可愛い一面ももってて...夏海ちゃんがピッタリだと思うんだ。大人っぽくて、かつ可愛いところとか。」
なるほど、そういうことか。自然体の私と『悠真』は似てるところがあるんだな。
───よくよく考えたら、今寺島さん私のこと可愛いって言った?
私はそれが無性に恥ずかしくなって俯いた。
寺島「あれ、夏海ちゃん?どうした?」
夏海「あ、あの、大丈夫です...!」
寺島「そう?じゃあ...始めるけど...」
夏海「はい、よろしくお願いします!」