第20章 卒業式
俺は翔ちゃんへの愛を再確認したけど、翔ちゃんはずっと不安そうな顔をしてて。
「俺のこと嫌いになった?」
なんて聞いてくるから反射的にキッと睨んでしまった。
だって、確かに翔ちゃんの話を聞いてちょっぴりガッカリはしちゃったけど、それでも俺の気持ちは全然変わらなかった。
変わらないどころか、むしろ愛しさが増したと思ってるのに。
「さっきも言ったでしょ!そんなことで俺の気持ちは変わらないって!なんで俺のこと信じてくれないの!?」
自然と翔ちゃんを責めるように口調もキツくなる。
「信じてるよ…信じてるけど…でも…」
俺の剣幕にオロオロしてるのに、それでも翔ちゃんはまだウダウダ言ってて。
全然信じてないじゃん!
「そりゃ、盗み聞きしてたとか全然カッコよくないし、俺の思い出の中の翔ちゃんと全然ちがったからちょっとショックだったけど!」
「うぅ…」
ムッとしてちょっと意地悪なことを言っちゃったら、翔ちゃんが涙目を通り越して半泣きになっちゃったから、それ以上言うのはやめることにした。
「もう…」
はぁ…ってため息を吐いたら、翔ちゃんはびくりと震えてオドオドと俺の様子を伺ってる。
そんなに俺のことが信じられないの?
俺はこんなに翔ちゃんのことが好きなのに。
どんな翔ちゃんだって嫌いになるわけないのに。
腹が立つよりなんだか悲しくなってきた。
それでも俺の気持ちは変わらないから。
もう一度ため息を吐いてから、ぎゅうっと翔ちゃんにしがみついた。