第20章 卒業式
生徒会室の前を通り過ぎて、校内をどんどん進んで。
3年、2年、1年の教室を順番に覗いていく。
「3年間ずっと同じクラスだったね」
「うん♡ずっと一緒で嬉しかった♡」
1、2年の教室は俺たちの時とは掲示物とか机の数とか微妙に違うけど、教室なんてそんな大きく変わるもんじゃないから。
当時のことを色々と思い出して懐かしくなる。
ずっと同じクラスだったから、何をするのもどの行事に参加するのも、いつだって翔ちゃんと一緒で。
イベントだけじゃなくて、何でもない毎日だってキラキラしてて。
すごく楽しくて幸せだった。
「クラスメイトにも恵まれたよね」
「みんなすごく優しかったね」
毎年クラス替えがあってメンバーはどんどん変わっていったけど、3年間どのクラスもみんないい人ばっかりだった。
入学直後とか、外部生でなかなかクラスに馴染めなかった俺と智に優しく声を掛けてくれたり。
翔ちゃんと付き合い始めた時だって、男同士だってバカにしたり嫌悪したりする人はいなかった。
俺たちのことをすんなり受け入れて見守ってくれて。
何か困った時や問題が起きちゃった時には助けてくれて。
さっきの騒ぎの時だって、斗真とかタッキーとか他にも色んな人が心配して連絡をくれてた。
もしかしたら俺が気づいてないところで助けてくれてたかもしれない。
俺が高校生活を楽しめたのは、間違いなく優しいクラスメイトたちの存在も大きいと思う。