第20章 卒業式
「さ、次行こ!」
「もういいの?」
「うん!」
俺のワガママで付き合わせちゃったけど、翔ちゃんのことを考えれば長居は出来ない。
思い出の上書きはさせてもらえたし、これ以上翔ちゃんに無理させたくないもん。
さっさと屋上から撤退して、次に向かったのは生徒会室。
自分には縁がないと思ってたのに、気づけばすっかり通い慣れていた場所。
今日は鍵がないから中には入れないけど。
「まさか俺まで生徒会に入ることになるなんて想像もしてなかったよね…」
岡田先輩と後輩たちに頼み込まれて、翔ちゃんのオマケで入った生徒会。
ついポツリと呟いちゃったら、翔ちゃんの眉毛が申し訳なさそうに下がった。
「巻き込んじゃってごめんね…でも、俺はカズと一緒に生徒会で活動出来て嬉しかったよ」
「翔ちゃん…」
うん、そうだね。
めちゃくちゃ忙しかったし、色んなことがあったけど、翔ちゃんと一緒だったから俺も楽しかった。
カッコいい会長モードな翔ちゃんも近くでたくさん見れたし♡
でも最初から楽しめた訳じゃない。
今となっちゃ笑い話だけど、最初は菊池にめちゃくちゃ嫌われてたんだよ、俺。
翔ちゃんをめぐる恋敵だったから。
面と向かって嫌いだって言われたことだってあった。
それが今では体張って俺のこと助けてくれるんだよ?
こんな友好的な関係になれるなんて、あの頃の俺に話しても信じないだろうな。