【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第71章 夢の扉
「Mimiの引退公演をやる!」
その話はしばらく前から出ていた。
内容はミュージカルだ。
共演する俳優は今話題の男性俳優。
『山城 隼』の予定だった。
ラジオ番組で共演したこともある山城さん。
少し長めのウェーブかかった明るい髪色。
身長も高い......180くらいかな?
ナルシストな雰囲気があると思う。
「Mimiちゃんは好きな人いるの?」
この手の質問は面倒だから否定しておこう。
「いませんよ。恋愛に興味がないんです」
「好きな食べ物はなに?」
「結構、何でも食べますよ」
向かいに座っている私達。
机に身を乗り出されればその距離はグッと近づいた。
「今日、仕事が終わった後は何か予定ある?」
耳元で囁かれた言葉。
内容を理解するのに少し時間がかかる。
「ごめんなさい。仕事が山積みでして......」
無難に躱して行かないとダメだよね。
山城さんはとにかく人との距離が近いと思う。
初対面からこのテンションだし、遊んでるのかな?
そして、空気が読めない......。
「Mimiさん、ここなんですけど......」
「はい」
「スタッフさん、今俺がこの子と話してるんだけど......」
「すみません。失礼しました!」
これって空気を読むのが苦手とか、そういうレベルなのかな?
再び会話が始まると質問攻めにあう。
そろそろ、終わるかな......?
早く終わってほしい。
「増長ってアイドルと付き合ってたの?」
突然彼の名前が出て動揺してしまった。
「付き合ってませんよ」
バレないように自然に笑顔で返す。
いけない、落ち着け。
「どういう人が好み?」
「謙虚な男性ですかね?」
牽制する為には正反対の人。
「俺も謙虚ってよく言われるんだよね」
「そうなんですね」
え......謙虚?
「アイドルなんて顔だけだし、ちやほやされるのなんて若いうちだけだよ。王子みたいな服着て全員一緒に見えるし。個人じゃ売れないからグループ活動してるんでしょ?Mimiちゃんも増長くんと噂立てられて迷惑だったんじゃ......」
「それ以上、彼らの......増長さんのこと悪く言ったらもう一生口聞きません!!」
突然大きな声を出せば驚かせる事は分かっていたのに、我慢できなかった。