【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第8章 想いはContraly
お世話になる宿は、立派な旅館だった。
「聞いてたより広いね」
「つばさは一緒じゃないの?」
「あ、当たり前じゃないですか!」
楽しい会話に参加する気にはなれなくて、こっそり野目さんを廊下に呼び出した。
「お疲れさまです。あの......顔色が悪いですよね?」
はっとした彼。暉くんの顔色は撮影前と違って、悪く見えたから気になった。聞いたらいけないことだったかな?
「みょうじ、知らないふりをしてくれないか?」
皆さんが話すロケの話......正直、内容が耳に入ってこない。私の頭を占領するのは先ほどのことでーー
『知らないふりをしてほしい』
風邪みたいな軽い病気で、その言葉が出るかな?
もう、答えは出ているようなものだ。
「暉くん!?」
楽しそうにしていた彼が突如咳き込み、その場に倒れこむ。
野目さんと私は素早く駆け寄った。
ゾッとした......口元を押さえた彼の手には鮮血が見えた。
「心配させてごめん。はしゃぎ過ぎて疲れたみたい......」
「はしゃぎ過ぎで、血吐くか!」
「俺たちに何か隠してない?」
とにかく病院に行こうという話になるけど、北門さんは私が階段から落ちて怪我をした時、気がかりなことがあったようだ。
その時あの病院ーー北門さんのお家が経営する病院で看護師さんに暉くんは具合を尋ねられたらしい。