【B-PROJECT】(完結)あなたの瞳に永遠を誓います
第74章 必要な犠牲
「いや......離してください!」
状況は最悪......そんなことは分かってる。
両腕を掴まれると耳元で囁かれた言葉。
「大人しく抱かれたらデータは全部返してあげる」
その言葉に動きを止める。
一回我慢したら......取り返せる?
今の状況で夜叉丸さんに場所の連絡はできない。
力の差は歴然だし......どうせ逃げきれない。
それ以前に逃げたらダメだ!
保身に走れば写真は公表されてしまうだろう。
関係を否定した意味がなくなるし、彼にも......大好きな皆にも迷惑がかかる。
『沢山助けてくれた彼らに何ができる?』って前にも考えたよね。
事実にならない婚約は嘘にしないといけない。
それが出来ないと増長さんの......彼らのイメージが悪くなる。
マイナスな影響が沢山出ることなんて私でも分かるのにーー
嫌だ......彼との思い出を塗り替えないでほしい。
ほんとに馬鹿だな。
例え思いが届かなくても、ずっと彼だけを思っていれたら幸せだったのに......。
本当の思いに気付かないフリをして、そちらを見上げて覚悟を決めた。
「物分かりがいいね」
早く終われ!
早く終われ!
大丈夫。
何も考えないで。
この先彼の隣に居るのは私じゃないし......これがきっと最後。
今まで彼がしてくれたことに対する......私からの最後のお返しだ。