第9章 現世編(後編)
一護と石田は地上で多くの虚に囲まれ、空からは今にも出て来そうな見たことも無い巨大な虚にたじろいだ。石田の使用した虚の撒き餌は非常に効果も高く、そしておそらく一護の高い霊圧がこの事態を引き起こしてしまったのだろう。
兎にも角にも、目の前の虚を倒さねばあんな大きな虚と勝負など到底出来ない。そう思ったその時、2人の横を何かが通り過ぎ、複数のソレは虚に当たって爆発を起こす。予想していなかった援護射撃に勢い良く振り返る。
「こ……こんにちは……。」
「黒崎サーーン!助けに来てあげましたよーーーン♪」
「てめえは…ルキアの知り合いのゲタ帽子!?」
「染谷さん…矢張り君も…。」
「話をする前に姿見せる事になっちゃったね。」
身体より大きな、マシンガンに似た武器を抱えたウルルが小さく頭を下げる。砲口から煙が上がっているのを見る限り、先程虚を纏めて倒したのは彼女なのだろう。その後ろにはいつも通り陽気に笑い扇子を振り上げる浦原、罰が悪そうに頬を掻くゆうり、唇をへの字に曲げるジン太、そして何故かエプロンを着けたままの握菱が立っている。
「…さて、じゃあ雑魚処理しようか。空の敵はやるからウルル、ジン太、テッサイさんは地上をよろしく。」
「おうよ!!ジン太ホーーームラン!!!」
「分かりました。」
「染谷殿、くれぐれもお気を付けて!」
「皆もね。」
ゆうりは飛び上がり、斬魄刀を構え空に滞空する虚へ向かっていく。瞬歩を駆使し切り掛るゆうりを視界に捉えることが出来たのは、浦原と握菱だけだった。一護と石田の目には突然虚の仮面がどんどん破壊されていくようにしか見えずただ目を見開く。
ジン太は袋から太く巨大な金棒を取り出し子供とは思えぬ怪力で虚の仮面を破壊して周り、ウルルは無表情でマシンガンを連射し、握菱は素手で虚の仮面を頭ごと吹き飛ばす。2人だけではどうにもならなかった虚が瞬き1つの合間にどんどん消えていく光景に一護達は息を飲んだ。
「つ…強い…!どんどん虚の数が削られていく…!!」
「ゲタ帽子…どうしてここに…?どうしててめぇは俺の行く先々に現れるんだよ……!?」