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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「運良く他の丸薬に紛れて倉庫から抜け出せた後も、いつか見つかって破棄されるんじゃないかってビクビクしてた。……ビクビクしてる最中ずっと考えてた…命なんて、他人が勝手に奪っていいモンじゃねぇんだって…。」

座り込んだまま顔をうつ向けて語る彼の言葉にゆうりは眉を下げた。人格を持っている時点で彼はもう或る意味1人の"人間"だったのだ。作られた機械ではない。己で考え、行動出来るのは生き物だけなのだから。それなのに、尸魂界は自分たちで生み出したそれをただのモノの様に扱った。到底許される事では無いのかもしれない。

「こうして生まれてきたんだよ!自由に生きて、自由に死ぬ権利ぐらいあるハズじゃねぇか!!虫だろーが人間だろーが…オレたちだって…同じだ…。だからオレは殺さねぇ…何も…殺させねぇんだ…!」

「……。」

「…ごめんね。」

「……え。」

緊張した面持ちで拳を握った改造魂魄に、ゆうりは両腕を伸ばすとそっと頭を包み込む様に抱き締めた。突如顔を覆う柔らかな感触に思わず彼から小さく声が漏れる。そんな彼の夕日色をした髪を優しく撫でた。

「死体を戦わせることが非人道的だと言うのなら、あなた達を勝手な都合で生み出し、要らなくなったからと簡単に棄ててしまうことだって余程最低な行為だったと思うよ。辛い思いをさせてごめんなさい。一死神として謝るわ。」

「ア、アンタは……」

「おーーやおや。」

「「!!」」

ヤバい、謝罪云々よりも胸が顔に思い切り当たって鼻血出そう…。
改造魂魄がそんな事を考え始めた矢先、気の抜けた声とゆうりには聞き慣れた下駄の音が辺りに響く。浦原だった。彼は一瞬で一改造魂魄の目の前に現れる。

「やーーっと見つけたと思ったら、ボロボロじゃないスか。こりゃ用意した道具、ほとんどムダになっちゃったっスねぇ…。」

「き…喜助、待って…!」

「…あ…。」

仕込み杖を持ち上げると、その先端には以前ルキアが使用していたグローブと同じ炎の中に髑髏が描かれた柄が入っていた。浦原はそれを一護の肉体へ向け、額を目掛け突き出す。まるでビリヤードのキューの様なソレは彼の身体を突き抜け、義魂丸だけを外へ弾き出した。
彼はそれをつまみ上げ後から屋上へやって来た握菱達に顔を向ける。中身の無くなった一護の身体は、完全に力が抜けゆうりにもたれ掛かった。
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