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【R18】月夜に咲く華【BLEACH】

第9章 現世編(後編)



「クソっ…タイミング悪いな…!」

一護達と分かれたゆうりは1人で空座町の町を走り回った。隠れているのか、それとも己同様に走り回っているのか…最悪この町から出てしまったのか。身体を手に入れた彼がどこに向かうか皆目検討もつかない。
辺りを見渡しながら走っているさなか、今度はゆうりの携帯が鳴った。

「…もしもし?喜助?見つかった?」

『お疲れ様でーす。それが、困った事にまだ見つかってないんですよねぇ。ゆうりのその様子じゃあそっちもまだみたいっスね。』

「うん、一護達と探してたんだけど虚の出現で今バラバラになってて………あっ。」

『どうしました?』

会話が途切れたゆうりに電話越しの浦原の声が響く。彼女はとあるマンションの屋上を凝視した。そこには芋虫のような虚がいる。多分伝令神機で指令があったのはあの虚だろう。しかし問題はそこでは無い。虚と対峙しているオレンジ頭の男が居るのだ。死覇装を着ていないあの姿は、間違いなく一護の肉体…つまり改造魂魄である。

「…見つけた。携帯にGPSついてるでしょ。そこに来て。」

『アレっ、バレてた!?』

「当たり前!」

密かに改造して機能を付けた筈だったのにどうやら彼女には筒抜けだったらしい。驚愕の声を上げた浦原を無視して通話を切るとゆうりは塀や屋根を伝いマンションの屋上へ向かう。近づくにつれて虚の声が聞こえて来た。

「へへ…オレの食事は邪魔するわウロチョロ逃げ回るわ…誰だか知らねーが…弱ェ癖に出しゃばってんじゃ…ねェよ!!」

「その通り!!」

「大丈夫?改造魂魄くん。」

虚が改造魂魄へ襲いかかろうとした刹那、ゆうりが飛び上がって来た方とは真逆から黒い塊が虚へ向かって行った。一護だ。彼はこめかみに青筋を立てながら改造魂魄へ向けられた芋虫の触手の様に長く伸びた足1本を切り落とす。ゆうりも斬魄刀を抜くと逆の足を斬り払った。

「な……」

「ギョあぁあああああ!!!」

「ふぅぅぅ…。」

一護は重い吐息を漏らし憤る気持ちを無理やり抑え込む。身体を持ち去り、虚と向かい合っているかと思えばその身体は全身ボロボロなのだ。先程での教室の一件も有りその怒りは中々収まらない。

「あ…オレを助…」
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