第17章 壁外調査
……あぁ、そういうことか。
顔は拭いてやろうとは思っていたが、体も綺麗にしてやるのに越したことはない。
「わかった。よろしく頼む」
ようやくハンジの来訪理由に合点がいき、リヴァイはすっと出ていった。
ばたんと扉の閉まる音がすると、ナナバが早速質問する。
「ハンジさん、一体どうなってるんですか? なんでマヤが兵長の部屋に?」
たまたま本部のある屋敷の前を通りかかったナナバは、出てきたハンジに “マヤを拭くから水とタオルを持ってリヴァイの部屋に来て!” と命じられ、全く状況がわからないまま駆けつけたのだ。
「もう聞いたとは思うんだけど、ちょっと巨人の生け捕りに失敗してマヤはこのとおりなんだよ」
と言いながらハンジは、ちらりとマヤの方を見る。
「兵長がマヤを抱きかかえて帰ってきたから、それはみんな知ってます」
「で、脳しんとうを起こしてるから目覚めるまで安静にしとかなくちゃいけないんだけど、リヴァイが自分の部屋で休ませると言ってきかなくてね」
ナナバが不思議そうな顔をした。
「なんで?」
「それはもう…、言わなくてもわかるだろ?」
「え? いや、全然わからないけど…」
「わかってる癖に~!」
とハンジはひじでナナバのわき腹を小突くと、そっと耳打ちした。ナナバは目を白黒させている。
「え! え? えええ! それ…、ホントに?」
「うん。エルヴィンのお墨付きだからね」
「全然知らなかった…」
驚愕しているナナバに、一応ハンジは釘を刺す。
「あんま言いふらさないようにね!」
「わかりました…」
了承しながらナナバは、一番言いふらしそうなのはハンジさんだけど…と内心思った。