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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第27章 翔ぶ


そうだ。確かに思った。

“こんな大きな巨人に勝てる訳がない…、ありえない” と。

新兵ならほぼ間違いなく、全員がそう思ったに違いない。

当時の絶望にまみれた生々しい感情を思い出しながら、マヤは身震いする。

「……そうですね、そう感じました。“勝てる訳がない、ありえない” と」

「巨人を目にした者が、そう思うのは至極当然のことだ。だが “ありえない” からとそこで戦うのを諦めてしまったら、本当に終わりだ」

エルヴィンはゆっくりと諭すように、ひとことひとことを明確に発音する。

「先人たちがもし、人類が巨人に打ち勝つことなどありえないと恐れ、嘆き、戦うことを放棄していたならば、今の我々はないだろう。巨人を倒し、人類が真の自由を掴む未来を信じているからこそ、先人は戦う術を考案してきた。バルネフェルト公爵のミュージアムで、立体機動装置の試作品を見ただろう? アンヘル・アールトネンがもし、“巨人を殺すなどありえない” と考えて開発しなければ、どうなっていた?」

エルヴィンの言葉を噛みしめながら、マヤはつぶやく。

「……立体機動装置がなければ、私たちは巨人とまともに戦うことすらできなかった…」

「そうだ。私が考案した長距離索敵陣形も然り。立体機動装置だけでは、まだ人類は巨人を滅ぼすことはできない。しかし不確定の未来を “ありえない” と決めつけるのではなく、常に ”ありえる” と無限の可能性を信じて行動するのが調査兵の信念ほかならない。だから私は巨人に対してより有効な長距離索敵陣形を考案した。そしてこれからも調査兵である限り誰かが、新しい武器や陣形、作戦などを編み出すだろう。だから… マヤ、この調査兵団の一員である限りは “ありえない” など言うな」


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