第27章 翔ぶ
とびきりの笑顔を交換し合ったのちに、ペトラが切り出した。
「レイさん…、まさかここに来るなんてね。そのうちみんなにばれちゃいそうだね、プロポーズのこととか…」
「それなんだけどね…。実はレイさん、団長室で…」
マヤは話した。
レイが “あのときお前はオレのことをよく知らねぇと言った。だから無理だと。なら今から知ればいいとオレは言った。憶えてるだろ? 約束どおりに知ってもらう。そのためには一緒に過ごす時間が必要だ” と言ったことを。
「それはちょっと嫌だね。なにも幹部全員がいるところで言わなくても…」
「そうだよね…」
「っていうかマヤ、レイさんのことを知るって約束したの?」
「……どうだろ? してないような気がするよ。確かにレイさんは私が断っても、これからオレのことを知ればいいと言っていたけれど、それは約束したのとは違う気がする」
「そっか。……とにかくそういうやり取りがあったのを知られるのって嫌だよね」
「うん…」
マヤの顔が曇る。
「特に兵長には知られたくなかったかな…」
「だね。でもさ、明日からレイさんが何日通い詰めてくるのか知らないけど、いくら来てくれたところで、レイさんのことを知ったところで…、マヤの気持ちは変わらないでしょ?」
「気持ち…?」
「やだ! 兵長への気持ちに決まってるじゃん!」
「それは変わらないけど…」
「なら、あんまり気にしないことだよ。レイさんと街に行くことは任務だと割り切ってエンジョイすべし!」
「エンジョイって…。みんなが訓練や掃除をしている時間に自分だけ遊ぶのって楽しめる気がしない」
「もう、真面目なんだから! いいの! それが立派な任務なんだから。あぁぁ、レイさんが私のことをシンデレラと思ってくれたなら、私が任務で遊べるのになぁ!」
任務で遊びたいなどと調子の良いことを言っているペトラだったが、ふっと真面目な顔つきになった。
「あれ…? マヤの今度の任務って、最終目標どうなるの?」
「最終目標…?」
ペトラの言葉に、マヤは首をかしげた。