第2章 胸はずむ
こうして眼鏡君の説教相手は私の隣のツンツン頭くんにすりかわって、一件落着。すっごいにらまれたけど、気にしない気にしない。
人が着々と集まってきた頃、ちょうど先生らしき人がやってきた。なんとヒーロー科は入学式もガイダンスもそっちのけで体力検査だって!ヒーロー科やるぅ~!
「ねぇねぇ!君の名前は?私は芦戸三奈っていうの!」
「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで。」
そうやって各々が自己紹介を始めるところを一歩引いてみていた。ヒーロー科可愛い子多すぎだろ~。
「君は?私は麗日お茶子!」
「原操奏っていうの。よろしくね、みんな!」
心配事なんてなかったかのように皆と友達になるのに日も置かなかった。みんな可愛いな~。
「今回の体力テストは個性を使用しても構わない。存分に使ってく。ただし、体力テストの順位において、最下位の者は今後の見込みなしと判断し退学処分とする。」
「そ、そんな!」
退学処分?絶対ありえないでしょ、先生の皆の士気をあげるための嘘かな?
でも、易々と順位を下にする訳もないじゃん?
「ヤオモモ~、ヤオモモの個性で鉄作れる?」
「ええ、お安い御用ですわ。」
「さんきゅ~、私素材がないと何にも出来ないからさ~。」
ヤオモモは文句一つ言わず、綺麗な肌から鉄を創造してくれる。女の私からしても、あれは目に毒だな。女の子が簡単にお肌を晒すんじゃありません!眼鏡君の言ってることわかるわ。
でも、窮屈なのが一番嫌だから仕方ないか。
「原操さん、出来ましたわ!」
「ありがとう!奏って呼んでよヤオモモ!」
ヤオモモにお礼を言いながら笑いかけると、元気よく返事が帰ってきて危うく惚れそうになった。可愛いな~畜生。
さて、いっちょやりますか。