第2章 胸はずむ
「なんか原操って怖いものなさそうだよな。」
「いや、私にだって怖いものあるからね!?」
上鳴君に勝手なイメージをつけられてそれを全力否定するも、切島君も瀬呂君もうんうん、と頷いて納得してしまっている始末。やめてよ!私そんな怖いもの知らずじゃないから!
更に言い返してやろうかと、口を開ける瞬間、教室のドアがガラッと開いた。
「デク君!」
「緑谷!」
お茶子と切島君がいち早く反応して続々と緑谷君の方へ向かって行く。彼はまだコスチュームから着替えていなくて体もボロボロのままだ。
「緑谷君、お疲れ様。凄かったよ、圧倒されちゃった。」
「ぼ、僕はそんな!!」
照れ臭そうに頭をかいてあたふたとする彼は何とも締まらない。けど、そこが彼の良いところなのかも。
「その怪我、ヤバそう...。治してあげよっか?」
「え!?原操さんの個性って治療もできるの!?」
「ま、まぁ、荒治療なんだけどね。ちょっと触るよ。」
彼に断りを入れてから、包帯の上から彼の腕に触れる。昔読んだ医学書を思い出して、分解し構築。正しい骨の構造へと組み替えて、切れた筋繊維を修復、鬱血した血管も戻して皮膚も再生。
「どう、かな?」
「す、すごい!指にも腕も力が入るし痛くない!」
「よかった!ぶっつけ本番でもいけちゃうもんだね!」
腕を振り回して感触を確かめる緑谷君は満面の笑みで私に俺を言ってくれた。しかし、私の言葉を聞いてえぇ!?と驚きを隠せない様子で後退っていた。私もビックリしたよ。
「あ、あれ?かっちゃんは?」
緑谷君が何かに気付いた様にはっ、そして爆豪君の居場所を聞いた。切島君がバツの悪そうに爆豪君の居場所を話すと、緑谷君は急いで追いかけて行った。一瞬の出来事で驚いて思わず緑谷君を呼び止めてしまったけど彼はそのまま走って行ってしまった。
爆豪君と何を話すか、何で二人がこんなにも仲が拗れているのか全く想像が出来ないけど、爆豪君があんなにも心を乱す姿はあんまり見たくないかな。