第5章 あなたのためなら
リンは岩場に腰掛けた。
頭の中で目の前の景色と“過去”が重なり合う。
いつかも、こんな風に海を見ていた。
私の傍にはいつも海が居た気がする。
私の記憶が残っているのは、10歳の頃から。
なぜ10歳まで記憶がないのかも
10年間どこで、誰と、何をしていたのかも
私には何も分からない。
始まりは10歳の時―――
私は海軍に捕まっていた。
私はその頃からずっと1人だったのだ。
一度、13歳の時に海軍から脱出を遂げた。
しかし、
これで一安心、となるほど世界は甘くなかった。
世間に1枚の“紙”が配られたのだ。
そう、それは手配書。
“ONLY ALIVEㅤㅤRIN”
懸賞金はというと、7000万ベリーだった。
政府がなんでこんな女1人に執着してくるのか、
自分でも分からなかった。
まだ幼い女1人には高すぎる懸賞金がかけられたからだろうか。
その日から
どの島にいても、
どの街にいても、
狙われる様になっていった。
私には居場所なんてなかった。
仲間なんていなかったんだ。
その孤独の中でただ分かったこと
それは、
私には“大きな力”があるということ。