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Girl meets Girl?

第3章 洛山高校男子バスケ部


実渕さんと会って、少したった日の朝。


昇降口がある棟には職員室や保健室、会議室などがあり、普段はあまり人通りがなく朝はとても静かなのに、今日は幅の広い廊下のちょうど中央の壁にある掲示板を囲むようにして、人が沢山いた。

二、三人いるだけでは気にも留めないけど、あれだけ人がいれば自分も自然にその方向に引き寄せられるように歩み寄っていた。



どうやら生徒達が注目しているのは、新聞部の号外の記事らしい。

…号外と言ってもそういうワードを使った方が人が集まりやすいだけで、不定期に作られている新聞に号外なんてあるのか。なんて、冷めたことも思った。


「ここのバスケ部って凄く強いんだって。それに、赤司君はもうキャプテンなんだって~!かっこいいよねー!」


ね~、と同意を求めた女の子と同じように両手を頬に当てながら、その周りにいる何人かもうっとりと記事を見つめている。

記事がよく見えないので背伸びをしていても、前を占領した人達はなかなか退こうとせず、かろうじて一番大きな見出しが見えるくらいだった。


"赤司君"、最近よく聞く名前だ。
一年生にも関わらず洛山の男子バスケ部のキャプテンで、部活自体も強豪らしい。

スポーツ全般が不得意な私は、そんな風に憧れられる存在である部員の人達を、ただ凄いと思うことしかできない。

私も、冬のコンクールに向けて早くテーマを見つけなければ。
この人達は数々の大会を通ってこんな風に取り上げてられている。誰に責められている訳でもないのに、急に不安と焦りで気持ちがだんだんとやつれてしまった。



朝のホームルームの五分前を知らせるチャイムが鳴り、私が来たときよりも増えていた人ごみは途端にわらわらと散っていった。

後に続こうとした私の目に入ったのは、見覚えのある黒髪。


「…実渕さんだ」


思わず声に出てしまい口元を抑えたまま、すっかり人がいなくなって見やすくなった記事を凝視した。
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