第8章 セブタン島
「が俺を嫌いだって言うなら、潔く身を引く。無理強いしてを痛めつけた海賊と同じにはなりたくない」
「……嫌いじゃない」
悔しそうには否定した。笑い出しそうになるのをこらえながら、ローは意地悪く続ける。
「ベポやハートの海賊団を好きなのと同じくらいって言うなら……さらっちまうか。俺と同じくらい好きなものがあるなんて気に入らない」
「横暴……」
低く非難されても痛くも痒くもなかった。
「俺が一番好きって言うまでどこまで閉じ込めておくのもいいな」
「そんなこと本当にしたらキャプテンのこと嫌いになるよ」
「……なら、道を踏み外さないためにはの言葉がどうしても要るな」
ずるい、とはかすれる声でささやく。
「もう全部知ってるくせに。一生懸命隠して来たのに、キャプテンはいっつも台無しにしちゃう」
「俺も我慢はするつもりだったんだがな。……心が弱るとダメだな。の言葉がないと元気になれない」
弱っているのは本当なので抱き寄せて正直に告白すると、ぎゅっとはローに抱きつき、「好き」としぼり出した。
「ベポやシャチを好きなのとは全然違うよ。キャプテンが一番好き。キャプテンが辛そうにしてると、自分が辛いより100倍辛い。笑ってくれると100倍うれしい。……大好きなの」
ここのところ、なんでをこんなに可愛く思っていたのか、やっと理解できた。
好きな女の子が、恋する目でずっと自分を見ていたから。それがわかって、とても幸せで、気づけばローは「ありがとう」と口にしていた。