第3章 口寂しさを紛らわせて
私の彼氏はヘビースモーカー。
いつもポケットにはライターと煙草が入ってる。
車を運転する時も、お酒を飲む時も、散歩する時も。
いつでも右は口元の近くで煙草を抑えていて、
私の手を握ることは無い。
私は煙草が大嫌い。
けれど、煙草を吸ってる彼のことは大好き。
矛盾してる。なんて自分でも思うけど、そんなの知らない。
彼が好き。彼を愛している。
それが全てだと思わない?
・
ある雨の日。
久しぶりに予定が合った彼と、少し豪華な食事を摂って、それから値段も階数も高いホテルへと移動した。
ホテルの部屋に入ると、珍しく煙草を持っていない彼の右手が私の両手首を優しく拘束する。
そのまま訪れる苦いキスに思わず眉を歪めると、ジンは何も言わずにキスを荒く変えた。
今夜のジンはいつもより焦りがあって。いつもなら私が乱れているのを見て、満足気に口角を上げるのに、今日は自分の赴くままに私を荒々しく抱いた。
行為が終わって、ベッドに寝そべり息を整えていると、ジンはやっぱりまた煙草を取り出した。