第1章 人生なんてチョロい
その翌日、来る校外学習の為に僕達は班決めをしなければならなかった。僕は直ぐに、自分の仲のいい子、そして女の子と班になれた。何故なら僕達はクラスの中で唯一浮いたいわゆる「陰キャ」と呼ばれる存在だったからだ。班決めを終えた安心感により、ふと周りを見渡すと昨日のサッカー部もとい綾瀬が「そう、…昨日さ、僕の話してて…ふふっ俺ビックリしちゃった…」もちろん彼が話しているのは昨日彼の噂をしていた人達の事だ。ちなみに彼らは中瀬くんと佐原くんという。彼の口振りからすると、彼らがさも綾瀬のことを悪く言った、様な言い方だが忘れてはいけない。綾瀬は中瀬くんの元カノの元彼だ。しかも中瀬くんと元カノさん(加藤さん)は別れる気は無かったのに、彼らが付き合って1周年を迎えた頃から急に綾瀬くん周辺がザワザワしだし、気づいたら綾瀬くんと加藤さんが付き合っており、そして今は―――。と、こんな話はどうでもいい。早く班を決めてくれないと、早く帰れない。しかし中瀬佐原ペアは未だうろたえたまま、動かなかった。何故なら、彼らは今しがた綾瀬と話している原くんといつも行動しているからだ。この3人はいつも同じ部活繋がりでお昼もよく一緒に食べている。本来は佐原中瀬、原ペアで3人、綾瀬とその他サッカー部で4人。そういう括りの筈だった。なのに、何故か綾瀬はいつもは絶対話さない原くんと話続けていた。そう、綾瀬は昨日の中瀬と佐原が話していた彼の噂話を聞いていたのだ。