第1章 序章
「や、やめて。許して……」
「……」
そこは、イタリアのとある修道院。
真夜中にも関わらず、建物内の明かりはまだ灯っている。
礼拝堂にて、シスターと“もう一人”が、向かい合っていた。
「ど、どうして、こんなことを…?」
「どの口が言っている?自分達の利益のためだけに、その汚ない手で罪の無い命を奪ってきたんだろう」
銃口を向けて、しっかりとハンマーを引く。
もう一方の手で、自分の胸に手を置く。
「確かにアンタを殺したところで、この怒りは収まらない。でも、
・・・・・・・・・・・
ここでアンタを見逃せば、
・・・・・・・・・・・・・・・
それ以上の怒りが湧いてくるんだ」
躊躇いや迷いなど一切なかった。
唯一、不安なのは、これから起こりうる騒動のこと。
恐らく、イタリア全土を巻き込みかねない事件になりうるだろうから。
ダァァンッ!
銃声とともに、白い礼拝堂に生々しい赤色が入り飛び散った。
その真ん中でたった今死体になったシスターに植物を添える。
それは、トリカブトの花だった。
花言葉は、「復讐」「人間嫌い」
“……いいか?___。アンタはここにはいなかった。何も見なかった。ずっと部屋にいた。今夜起きたことは、全部、忘れるんだ”
証拠品になる銃を手元にしまい、迫り来るであろう刺客に臨もうと、思い起こす。
もう後戻りはできない。
守り切るには、進むしかない。
どんな荊の道だろうと、死んだ方がマシなくらいの苦痛が襲ってこようとも。
全ては、交わした“約束”のため……
(もう…やるしかない……)
“ソイツ”は、人間であって人間ではなかった。
生まれ持ってしまった“ある特性”により、人間の醜さに翻弄され、己が人間であることさえも忌み嫌っていた。
彼らに出会うまでは……