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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第16章 それぞれの真実







「お前…いつから知っていた…」



セバスチャンの正体を知っているのはグレル達くらいだ。今迄それ以外にはバレた事もない。



「(私が知ったのはちょうど1年くらい前です。ですが、アンダーテイカーさんはずっと知っていましたよ。アンダーテイカーさんが、ヴィンセントさんの…貴方のお父様の月命日にファントムハイヴ邸にいらした時からずっと…)」



「クソッ…アンダーテイカーめ……知ってて、ずっと黙っていたという事か……」



「(悪魔を召喚するにはそれ相応の対価と、怒り、憎しみ、悲しみなどの……そう、良くも悪くも強い“想いや犠牲”がなければ叶わないとアンダーテイカーさんは仰ってました…シエルさん…シエルさんはどうやってセバスチャンさんを召喚したのですか?)」



「……チッ…。」



シエルがセバスチャンを召喚する事ができたのはマリアンヌの言う通り、家族を惨殺された怒りや憎しみの想いからだ。

あの時の自分はこの世の全てに絶望し、怒り、憎み、神さえも否定した。

誰からも追求されたくなかった事をマリアンヌから問い詰められてしまい思わず盛大な舌打ちをする。




「(私は生まれた時から何1つ持っていませんでしたが……全てを失い、全てに絶望した時に、無条件で手を差し伸べてくれる存在がいたらその手を取る事は間違っているのでしょうか?私はそうは思いません!だって、だって…私はアンダーテイカーさんに助けてもらって、初めて“幸せ”という気持ちを知ったから…だから私はアンダーテイカーさんが人ならざる存在でも、どんな事をしようと、そんな事は関係無いんです。だって、私の幸せは、彼の隣にしかないから…)」



気づけばヘーゼルの瞳からは涙がポロポロと流れ落ちる。

そう、マリアンヌの幸せはアンダーテイカーの存在そのものであり、誰からも否定されたくはない。

たった1つの大切な幸せを、マリアンヌは絶対に失うわけにはいかない。

アンダーテイカーを失ってしまったらもう自分は生きている意味など無いのだから。

そのため涙を流しながらも、必死に叫び訴えた。



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