第8章 死神との生活
「(…………あ……)」
マリアンヌが目を覚ますと、窓から入る光は夕暮れのオレンジ色に変わっていた。
だいぶ眠っていたようだ。
布団を剥いで身体を起こすと、薬が効いたのかだいぶ身体が楽になっていた。
「(アンダーテイカーさんの薬…すごい……)」
ーコンコンー
すると、マリアンヌが目覚めるのを待っていたかのように部屋の扉がノックされる。
急いでベッドからでて扉をあけると、いつもと変わらぬ優しい表情のアンダーテイカーが立っていた。
「マリアンヌ、起きてたのかい?」
「(つい先程起きたんです。随分と眠ってしまいました…)」
マリアンヌは苦笑いを浮かべながら書き綴る。
「そうだったのか。体調はどうだい?辛いなら薬を足そうと思っていたんだけどね〜」
「(あ、それなら大丈夫です。お薬が効いたのか、すごく楽になりました。)」
「それは良かった。なら、これから小生とどこかへ食事にでもでかけるかい?」
「(え?今からですか?)」
「マリアンヌ、朝から何も食べてないだろう?それに今日はマリアンヌが一人前のレディになった記念日だ。お祝いをしなくちゃね〜」
「(そ、そんな……なんか、恥ずかしいですし、悪いですし……その…あの…)」
マリアンヌは恥ずかしいのかしどろもどろになりながらペンをぐるぐると走らせている。
「そんな事ないさ〜東の果ての国では祝飯を炊いて成長を祝う風習もあるくらいだ。英国でやったって何も不思議ではないよ。だから、行こうよマリアンヌ。」
「(………………)」
少し屈んでマリアンヌの顔を覗きこむと、顔を真っ赤にさせながら、小さく頷いた。
「よし、じゃあ決まりだね〜。そしたらお洒落をしていかないとね〜まだ着てなかったドレスがあったはずだ。持ってくるから待っていておくれ〜」
出かけることが決まると、アンダーテイカーは上機嫌にマリアンヌの服を取りに走って行ってしまう。
「(アンダーテイカーさん……)」
今まで祝われる事などなかったマリアンヌはどうしたらよいのか分からずその背中をただ見つめる事しかできなかった。