第1章 再会の約束
いつもの公園を散歩気分で歩いていたら傷だらけで倒れている人を見つけた。
慌てて駆け寄って心配するが彼はその心配はないと強がるだけだ。
私の顔をみて何か察した顔をしていたが今はどうでもいい。
「私の家で手当てしましょう!ついてきて大丈夫だから、あの立てますか?」
「ああ。」
ゆっくり立ち上がり彼は気まずそうな顔していた。でもおとなしくついてきてくれた。
「気を遣わずにどうぞ一人暮らしなので」
玄関を開け、彼をソファに落ち着かせる。
簡単な治療しかできないけど…と静かに思い、止血と消毒を施す。
包帯をだし巻き付けた。
「…お前……」
「え?」
伏目がちな彼は呟く。
「……何でもない…」
「あの私達会ったことありましたっけ?何かアナタを見てると初めて会った気がしないんです」
何か大切なことを忘れているようなそんな昔の話ではないような不思議と温かさを感じた。
「……」
「ごめんなさい!逆ナンとかじゃなくてその!」
「別に…」
変に焦ってしまい彼の表情を窺うが至って無表情だ。
そして彼はゆっくりソファから立ち窓を開けた。
「……また…来てもいいか?」
そっぽを向き外の音に溶け込むように呟いた。
「えっ」
思わず息をのむ。
「じゃあな、優愛」
と言って去って行ってしまった。
去り際に彼のポケットに私が大切にしていた紅のミサンガが目に入った。
無くしたと思ってたのに何故彼が?それに私は名乗ってない
のに名前を…
脳裏に何か蘇ろうとしている。
「…飛…影……さん?」
彼は飛影だ。
そう分かった途端、鳴りやまない胸の音が響くのであった。