第6章 想起4
「なんか私悪い事したかなぁ…」
ミサンガを手首ごと握りしめて悲しみに浸る。
涙がポロポロと流れていく。
「……飛影っ!会いたいよっ」
名前を呼んでも彼はやってこない。
その頃飛影は蔵馬の所へ行っていた。
「それは本気で言ってるんですか飛影」
「ああ、俺は本気だ。あいつが幸せになれるならそれでいい」
あまり良い空気とは言えない雰囲気になっている。
「優愛さんにとって本当の幸せは飛影とずっと一緒にいることなんじゃないんですか?飛影の幸せだって同じでしょう?俺はそう思いますよ」
「いいんだ。俺とあいつは所詮妖怪と人間、俺とじゃ幸せになれない。また新たな未来を掴んでほしいそう思う」
俺もここまで優愛のことを考えたりするなんて気でも触れてしまっただろうか本当俺はあいつのおかげで変わった。嘲笑さえ起きる。
そう飛影は思い口元を緩ます。
「妖怪と人間だって最初からわかってて一緒にいたのに今更なんですか」
「そうだ」
「そんな壁なんてとっくに超えてるくらいの愛って俺でもわかりますよ」
「…」
「そのミサンガを裏切るんですか」
「!」
再会の約束だよ!
優愛の笑顔が脳裏に蘇る。
しかし飛影は目を閉じると
「俺にはこういう生き方がお似合いなのさ。軀のところへ行ったらせいぜい闘いまくっていずれ死に場所がみつかるだろう」
「本当にそう思っているのか?」
蔵馬の表情は冷徹になる。
「貴様も昔、女にしただろ夢幻花を使って」
蔵馬は飛影と初めて会った時のことを思い出す。
八つ手にクラスの女子を攫われて共闘し取り戻すも記憶と想いを消した。
「飛影、そこまで言うなら…わかったよ」
「フン…最初からそう言えばいいものを」
「ただし条件があるよ、これだけは守れ」
飛影は条件を聞いて頷き優愛の元へ行った。