第24章 若月と小狐
小狐丸「ぬしさ…!?……んっ…っ」
主「…ん……んぅっ!?」
唇を離そうとすると、先程空けた二人の空間を埋める様に強く抱き締めて来た小狐丸。
自ら口付けたが最後…小狐丸から返された、激しく噛み付く様な深い口付けに翻弄される。
舌を絡め取られ、小狐丸の尖った歯で舌を擽る様に甘噛みされる。小狐丸の漏らした吐息が熱く、混ざりあった唾液が喉の奥に流れ込んで来た。
もう息が…そう思った瞬間、唇が離れた。
月に照らされ一層淫らに光る銀色の糸が、二人の唇に橋を掛け…ぷつりと切れた。
主「んっ!…ん…ぷはっ…ハァッ…はっ…!!」
漸く空気が吸える、と乱れた呼吸で酸素を肺に取り込む。
小狐丸「ぬし様…貴女を誰にも盗られたくは無い。そう思ってしまうこの小狐は、やはり罪でしょうか…?」
私と視線を合わせ、今にも泣き出しそうな目で訴え掛ける小狐丸。
その苦し気な表情に、不謹慎ながら可愛いと思ってしまう私を許して欲しい。
私は背伸びをして、小狐丸の頭を撫でた。
主「私ね?小狐丸大好きだよ。此処に居る子は皆…私の家族、皆を愛してる」
小狐丸「……」
主「小狐丸の髪はとても綺麗だね、まるで月の光が糸になったみたい。ふわふわで、さらさら…」
月の幻想的な光に負けない、この銀色の美しい髪。
指通りの良い柔らかな髪質に、私は目を細め笑った。