第13章 体育祭
…ってダメダメ!
思い出してドキドキしてるだけじゃダメだよ。
少しでも俺に出来ることを考えなくちゃ!
俺だって翔ちゃんの力になりたいもん!
「翔ちゃん、お疲れさま!」
練習を終えて、戻ってきた翔ちゃんにタオルを手渡す。
「ありがとう、カズ」
汗をかいてても爽やかな翔ちゃんの笑顔に見惚れそうになるけど。
頭を軽く振って、持ってた保冷バッグからタッパーを取り出す。
「あのね、はちみつレモンを作ってみたの」
「マジで!?カズの手作り?」
「うん、食べてくれる?」
「もちろん!食べる食べる!」
タッパーの中身を見た翔ちゃんの目がキラキラと輝いた。
「初めて作ったから…美味しくなかったらごめんね」
もちろん味見はしたから大丈夫だと思うけど、翔ちゃんの口に合うかは分からない。
翔ちゃんがレモンを口に運ぶのをドキドキしながら見守る。
「うまい!マジでうまいよ!」
口に入れた瞬間、翔ちゃんの顔が綻んで。
パクパク口に運んでくれるからホッとした。
本当に美味しいって思ってくれてるみたい。
「甘酸っぱさが疲れた体に染み渡るよ」
「良かったー♡」
あっという間にはちみつレモンを平らげた翔ちゃんに
「お腹は空いてない?おにぎりもあるよ」
「めっちゃ空いてる!」
「ふふ、はい♡」
「いただきます!」
梅のおにぎりを手渡すと、すぐに大きな口でかぶりついてくれる。
ほっぺたパンパンにして可愛い♡
「はちみつレモンとか…女子マネか!」
「なぁ、俺たちの分は?」
気付いたら潤くんや他のクラスメイトたちも近くに来ていて。
斗真が翔ちゃんを羨ましそうに見てた。