第30章 〜緋色の欠陥、晒される過ち〜
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後日、警察庁の会議室は物々しい険悪な空気を放ち、廊下で待機している刑事達の表情もとても険しかった。無理もない事である、これまで水面化で行動していたFBIとの会談だ
それも今まで行ってきた違法行為の計画を綴った書類の数々、死亡届が提出された赤井秀一の偽装を裏付ける証拠、沖矢昴と名乗って変装しながら潜伏している自白、正式に江戸川コナンを協力者として明かした報告、そしてFBIが掴んだ組織に関する凡ゆる情報など。終いにはこの後に及んで本国からの申請書、更にはこれを提出していなかった事実を知らぬ上層部から謝罪と処分を日本側の意思に委ねる通達までも。それらが警察庁の警備局警備企画課、通称公安を束ねるゼロの元に一気に押し寄せた
そんな膨大な情報量を何とか捌き、日本側は公安に関わる上層部、潜入中の上官でもある降谷零と彼の直轄の部下であった風見、更に部下を数名配置した。一方、FBIは上官であるジェームズ・ブラックや、部下のジョディ・スターリングとアンドレ・キャメル、沖矢の変装を解いた赤井秀一、その他日本にやって来ていた捜査員がいる
最後に一番最後尾には灰原哀と江戸川コナンが二人で座っており、自分達が幼児化している事実を明かした。証拠に本来の自分との情報を擦り合わせたり、DNAの調査で本人確認を取った。そして幼児化させた薬・APTX4869のデータが提出され、灰原哀が宮野志保、江戸川コナンが工藤新一であると日本警察に話したのだ。新一がコナンとなって起こしたトラブル、眠りの小五郎の絡繰やスケートボードを滑走させて招いた事故、海外にパスポートも無く移動した事なども
そんな多くの話を皮切りに、色んな事実が明かされて行ったーーー
降谷は怒りと呆れを混ぜたため息を吐き、長机を幾つも隔てた反対側に座るFBIを鋭く睨みつけた
「……まさか謝っただけで赦される、大義名分は罪じゃないなどと言わないだろうな?」
「勿論赦されるなんて思っていない。其方が掲示する罰を受け、相応の償いをする覚悟でいる」
「そうか、最低限の礼儀があって安心したよ」
騒然となったFBIと日本警察の会議は、数日に渡って行われる事になる。今後、態度を改めたFBIを含めた各国の警察機関と合同捜査を行い、一気に組織を壊滅させて行く為にーーー