第25章 〜毛利蘭の苦悩〜
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蘭が相談を終えて世良と園子も帰ろうと外に出ると、既に陽は傾いて空が茜色に染まっていた。夕方になるまで話に没頭していた自分達に驚き、後ろを見送りのためについて来ていた麻衣に一層申し訳なさを感じた。四人は境内を歩いて大門の外まで行き、一度立ち止まって最後に少しばかりの話をする
「突然相談にのってもらって、こんな時間になるまですいませんでした……」
「いえいえ、悩んでいる方に寄り添う事が我が家のお仕事です。少しはすっきりしましたか?」
「はい!勿論です!」
「僕もだよ。蘭くんが悩んでいるから相談に来たけど、君の話を聞いて気づいた事がいっぱいあった」
「そうね、私も少しは勉強になったかも」
女子高生達は麻衣の質問に対し、とても晴々とした顔で満足出来たと三人揃って答えていく。麻衣はそんな彼女達の爽やかな姿に達成感を感じつつ、「それは良かったです」と微笑み返して遅くなると危険だと帰そうと口を開きかけた。ところが麻衣より先に蘭達の方が続けて喋るのが早かった
「だからあの、もし今後も何か悩みがあったら相談に来てもいいですか?」
「あ、僕も何かあればお願いするよ。ーーーと言うか、折角同い年なのにこの距離感は違和感しかない……。もうちょい気楽にいかないか?そうだ、僕達四人で友達になろう!」
「そんな妙に改まった勧誘から始めるよ?!普通そういうのはもっと自然に親しくなるものでーーーって、あ〜、別にどうでもいわよね。私も財閥の令嬢だけど、護衛付きの巫女さんの御家は雰囲気が違うから何だか慣れなくて」
女は三人揃えばとても賑やかになると言うが、明るく元気な彼女達を見るに例外ではないらしい。蘭も園子も世良も麻衣と普通に話してみたい、出来れば仲良く遊んで、色々喋っていって距離感を縮めたいと考えているのだ。それは真剣に検討している三人を眺める麻衣も理解しており、彼女達の気さくで純粋な好意は心地よくて麻衣はコロコロ笑っていた
「ふふっ、お気持ちは受けました。是非とも良き友人になりましょう、よろしくお願いしますね」
手を差し出してそう言った麻衣に、賑やかだった女子三人がキョトンと顔を見合わせた後、すぐに満面の笑みで麻衣の両手を握ったのだったーーー