Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]
第3章 夕暮れ
「どこまで掘るつもり?」
ブランコの前にある鉄の柵に腰掛けていたリョーマがややため息混じりに言った。
は足を止めその声の方に向かって顔を上げようとしたが自身でその行動を阻止し笑った。
笑うしか なかった。
「靴、汚れちゃった」
足元に手をのばして土で汚れたつま先を払う。
隙間に入り込んだ土を取ろうとして上半身に体重をのせたとき、不安定なブランコからバランスを崩してそのまま滑り落ち尻もちをついてしまった。
「いった……!」
揺れたブランコが背中を打ち二度痛みを味わった。
そのとき前にいたリョーマが駆け寄った気がしたがそれすらももう情けなかった。
こんな自分に駆け寄るリョーマを見たくなかった。
こんな自分を気にして欲しくなかった。
は尻もちをついたまま膝を抱え込み顔を隠して。
「もうやだ痛い!!」
込み上げてくる感情。
ズキズキと痛む背中と地面にべったりとつくそこ。
情けない、情けない、情けない。
なにか言って欲しい、ううん放っておいてほしい。
そう考えながら膝を抱え込んだ手に力を込める。