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Instead of drink[テニプリ 越前 リョーマ]

第3章 夕暮れ












やや錆の匂いがついたてのひらを少し見つめてもう一度握り直す。
地面に足をつけながらブランコをゆらゆらとさせて空を仰いだ。
先程より少し蒼みが増しただろうか……
公園内に灯った電灯が目立ち始めていた。


視界にリョーマの姿が入っている。
自分の中の醜い感情が、その姿に視点を合わせてくれない。
ただただ頭の中であの時のリョーマとあの子の姿がグルグルと回る。回りすぎてそれが円となってしまうのではないかと、繋がってしまうのではないかと。


…………繋がってしまうのではないかと。


気づけば自分もあの時の彼女と同じことをしていた。
地面の砂の下に隠れている湿った土を掘り起こしてしまうほどにつま先に力が入っていた。
両手で冷たい鎖を握りしめて。
錆びの匂いがてのひらを覆っていく。
ここにあの子が座っていて、その隣にリョーマがいた。
そのことをずっと考えながら。
考えたくないその先のことまでもが勝手に頭を支配していく。
地面を掘り起こすつま先が汚れていく。





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