第25章 キス…した、い。
「ろ、ロー…?」
私は人生最大のピンチだった。
ローにベッドへ押し倒されている。
これから何が起きるのか嫌でも想像出来て、全身が強張る。
「キスしたら我慢出来ねぇ」
「…我慢…してたの?」
ローは僅かに目を開いて反応する。
「野暮な質問だな…」
小さく笑って、帽子をとる。
「あっ、待って…」
口づけされようとしたその行為は止まる。
帽子を外した彼は精悍さが増すようで、その真っ直ぐな瞳に見つめられれば生唾が喉を通る。
「好きって…聞きたい」
まだ聞けなかった言葉。
ローの思いを確認したくて。
不安をその言葉で取り除けるなら。
不確かなものでもいいからー
「お前は?」
「…、好き」
「ならいい」
「えっ何それ、まっ、待って…!」
「待たねぇ」
その言葉を合図かの様に、ローは私の額、鼻、唇それから首筋にキスを落としていく。
そのくすぐったい行為に終始エリナは瞳と唇をぎゅっと閉じて耐え忍んだ。
「くく…可愛らしいことだな」
「だ、だって…」
こっちは精一杯なのに余裕綽々なローがムカついて緊張するけどなぜかどこか安心してしまう。
それはローの温もりか、声が優しいからか。
ローの手が服へ伸びて遠慮なしに捲られる。
白い肌が外気に晒されその冷たさに鳥肌が立った。
余計にローの舌が酷く熱く感じる。