第32章 口の悪さもそっくりだな。
「だってまず、部屋に他人を入れて生活するような事は考えられなかったし、食事だって食堂に来てみんなと食べるのを見て氷が降るんじゃないかと思った」
「はは」
「ここだけの話、島でも女も買わなくなったし」
「本当に?」
エリナは意地の悪い笑顔で眉を潜め聞く。
「本当本当。ペペロミア島でエリナを乗せた時だって部屋の用意や身の回りの物全部キャプテンの発案なんだぜ?なんかもう俺キャプテンが健気に見えちゃってさ〜、恋だの愛に無縁な人が翻弄されてる姿に」
ペンギンのそれにエリナもつい小さく吹き出してしまった。
そしてペペロミア島で買い物した時の事を思い出す。
あの時はまさか自分の為だなんて思っても見なかったけど。
「キャプテンは少しづつ変わっていった。というかやっと人間臭くなってきたと言うか…良い傾向だ」
ペンギンの横顔はどこか安堵を浮かべたような、嬉しいような。
「なぁ二人は昔からできてたのか?」
「まさか、ただの幼馴染み兼喧嘩と暇つぶし相手よ」
「…そうか。でもまさかエリナとキャプテンが幼馴染みなのはびっくりしたな。世間って狭いな。今こうやって船に乗ってるのも不思議で堪らねぇ」
「それは私が魔女だから?」
口の端を吊り上げペンギンに問う。
「ああ、もちろんさ。しかしこれでこの船は最強だな〜!」
「呑気なこと」
腕を伸ばして晴天を仰ぐペンギン。
エリナは一つ気になった事を聞いてみた。