第7章 近づく距離

side青峰

黒須の気が変わらねぇうちにチェックアウトさせようと、ホテルのレンタカーでハンプトンまで移動してチェックアウトを済ませた

外も暗くなり始めてたし俺の車じゃねぇから撮られるって可能性もほとんどねぇし、ドライブに誘ったら嬉しそうに笑った

あー……
ほんと可愛い。



NYはとにかく車だらけでごちゃごちゃしてるから、俺が運転に集中してんのに可愛い顔してこっちをチラチラ見てくるから気になってしょうがねぇ。

明らかに視線を感じんのに、黒須はお得意の“見てない”

からかいてぇのは山々だけど、運転中は危ねぇから流して頭を撫でると笑ってこっちを見てくるから抱き寄せたくなっちまう

運転中は危ねぇから我慢しろって必死に自分に言い聞かせてハンドルに手を戻した。

大通りを抜けてホテルからいつも見ていた橋を渡って、NYでも治安の悪りぃとこはあるから、そこを避けて広めの公園で車を停めた。

前にフィフスアベニューを歩いた時すげぇ楽しそうにしてたし、今も歩きたそうに窓の外を見てたから一緒に外に出た。

9月とはいえさすがにNYは冷える

薄着の黒須に上着を貸すと、全然サイズがあってなくて何度も手を出しててた。


ほんとちいせぇし華奢
でも子供っぽいとかじゃなくて、ちゃんと女っぽくて暗がりで見てもすげぇ綺麗な顔してる

鼻筋が通っててまつ毛がなげぇから横顔がめちゃくちゃ俺好み。

女と散歩なんて黒須以外ならすることはねぇけど、黒須となら何をしてる時間も特別に感じられる。

上を見ながら歩いて、軽井沢の星を見に行きたいって言うから他の奴と行かれるのは嫌で｢一緒に行くか？｣って聞いたら俺がいいならとか言われたけど、そんなんいいに決まってる

星は別に興味ねぇけど黒須と一緒に過ごせんなら行く。

ほんとどハマりしててベタ惚れで、自分でも意味わかんねぇから笑えてすらくる

体も冷えてきたからドライブスルーで飲み物を買ったけど、あのフタのせいで飲めなくて、信号で止まるとフタを外してフーフーしながら少し飲んで、口の上に泡がつくとそれを舐めて笑った。

可愛いしエロいし、運転してなきゃ理性なんかとっくに崩壊してる。




これが黄瀬の言う“エロ可愛い”ってことか？
よくわかんねぇけど…エロくて可愛いとは思うし黒須が猫舌なのはよくわかった。